大杉です。
サッカーは普段日本代表戦くらいしか見ないし、
なんなら日本代表戦もここ数年は全く見てないなぁ
というくらいにサッカーに興味がなかった僕だけどもこの本は本当に面白かった。
当初本書はこんなセンセーショナルなタイトルではなくて
ハリルホジッチ監督のことについて普通に解説する本の予定だった。
しかしW杯直前の電撃解任は記憶に新しいが
その電撃解任を受けて急遽構成と題名を変更して出版したという経緯を持つ。
僕もあの電撃解任がなければ手に取ることすらなかっただろうと思う。
本書でよくわかったのはハリルホジッチの戦術や戦略が
大変に優れているが、言葉だけが一人歩きし誤解されているということだった。
ハリルホジッチの言葉でよく使われるのが「デュエル」という言葉だ
これは球際での1対1の戦いを指す。
これだけ見るとハリルホジッチが個人技や個人戦を重視しているようにとられがちがそうではない。
現代サッカーは高度な戦術化組織化が為されており
戦術面戦略面において様々な方法で戦えるように必要がある
ある場面、ある局面で強かったとしても、そのパターンでしか勝てないチームは
事前にパターンを読まれてしまうとパターンに合わせた戦術を取られてしまえば負けてしまう。
試合が始まる前からお互いの戦術の読み合いは始まっているのだから
あるパターンで対応されても他のパターンで戦える必要がある。
そこでデュエルの必要性が出てくる。
デュエルの目的は個人で戦うのではなく
様々な戦略に対応できるための手段だ。
デュエルができなければ様々な戦略に対応できないとのことだ。
この他にもハリルホジッチの過去監督をしたゲームを細かく解説しているのだが
読んで思ったのはサッカーというゲームは多様な戦術をチェスのように読み合い
その多様な戦術を試合で発揮するためには入念な準備が必要で
断片的に入っていた情報にはこうした一貫性があってのことなのかと
大変驚きと感動を読みながら感じた。
単に場当たり的に戦うよりもたしかにこういうやり方ならなば将来にも繋がるのでは?
と素人目にも感じるのだ。
僕がサッカーに詳しくないこともあって、詳細な解説というのはまだわからないことも多いが、戦略面から試合を解説してもらうのは面白い。
しかしその一方でこれだけの監督を解任してしまって大丈夫だろうか?
戦略戦術面の財産は受け継がれていくのかが不安になってしまった。
読んでいて暗澹たる気持ちになってしまったが
サッカーの見方が面白くなる本なのは間違い無いと思う。