akiraの個人ブログ

akiの個人ブログです。読んだ本の感想、めんたねでやってる心理学、カウンセリング、催眠の事とか、他にも旅行、外食、買ってよかったもの、ラノベ、アニメなど興味のあるものを書き連ねていきます。

映画「へレディタリー/継承」をみてきた。ホラーかと思わせて人間の狂気が描かれていたかも。


友人の精神科医から家族療法や箱庭療法が作中で使われていて勉強になるみたいなことを言われていった。
見てみたらそんなことはなく、終わったと一緒に見に行った友人とぽかーんとしていた。まあ要するにだまされたのだけど。

話は祖母の葬式から始まる。家は代々精神に問題を抱えて自殺する人間がよく出ていて、祖母も言動がおかしく家族が苦労していた。
母親は家や街のミニチュアを作る仕事をしていて、父親はセラピスト(作中だけでみてるとセラピストとわからずてっきり大学教員かなにかと思っていた)
この夫婦には2人子供がいて、高校生の息子と、中学生の娘がいる。高校生の長男はマリファナをやったり夜遊びのパーティをしたりちょっと悪いことをしているけどまあ、普通の子、中学生の長女がおかしかった祖母の影響を受けていたようで、気味の悪い似顔絵を描いたり、道端に落ちているものを拾って人形を作ったりする。エスカレートして外で死んでいる鳩の生首をはさみで切り取って人形の材料にしたりなどする。

祖母の葬式から、日常に戻りだす家庭の風景に戻るのだが、事件が起きて家族が狂気に飲み込まれていく。
息子と娘がパーティに行った帰りに、事故で娘が死んでしまう。
母親は嘆き、息子は罪悪感にのまれ幻覚や幻聴を見るようになっていく。

実はいろんな問題を抱えていたことが後々わかっていく。
母親は実は夢遊病で眠りながら、シンナーをかぶり、息子にもシンナーをかけてライターで火をつけようとした過去がある。母親は母親で自分が問題を抱えていることに恐怖をしている。
それ以来息子との関係がギクシャクしている。いままでギクシャクしながらもうまくやってきたのだが母親のほうに余裕がなくなってきて家族同士でいがみ合い始める。

そんななかで母親は以前から参加していた集会で知り合った女性から死者の霊と会話する儀式を教えてもらう。
初めは恐怖するのだが結局家でやり始めて会話をしだす。家族としては母親がおかしくなったと辟易しつつ

しかそそれ以降息子が幻覚や幻聴を見たり、自分で机に顔を打ち付けたりおかしくなっていく。

母親は自分に儀式を教えてくれた友人が実は祖母と知り合いであったことに気が付き、祖母の遺品がある屋根裏部屋にいくと埋めたはずの祖母の遺体があることを発見する。

実は祖母が悪魔召喚の儀式をやっていて、悪魔を召喚するために前々から信奉者も集めていて
息子の肉体に悪魔を憑依させるための布石であったということがわかる。
母親がやった儀式は悪魔を呼ぶためのものであった。

最後は父親は火に焼かれて死に、母親は自分の首をワイヤーで落として、息子の中には悪魔が入り込み、信奉者たちがひさまづいて終わるという、なかなか投げっぱなしというかすごい終わり方だった。

一番怖いなと思ったのは、この話、悪魔召喚からなる超常現象のホラーとして見ることもできるのだけど
それよりも全部精神に異常をもってしまった一族の空想でしたという見方もできてしまうところだ。
それがとても怖かった。人間の狂気と狂気による空想が家庭をこうもたやすく壊して、いろんな人間を巻き込んで殺してしまうところにだ。

町山氏の解説を映画を見た後で読んだけど監督はどうも映画で描かれているような精神的な疾患を持つ家族を身内に抱えていて大変な目にあったようである。
異常者の家庭に生まれ、異常者に翻弄され、自分もそうした血をひいていて狂ってしまうのではないかという恐怖が当事者性をもって描かれていた。