公開当初からSNSを中心にえらく盛り上がっていて当初は見るつもりはあまりなかったのだけど、気になって友人と見に行くことになった。
僕は1990年生まれなのでクィーンはリアルタイムでしらないけども、クィーンの曲はCMやドラマの主題歌でたくさん使われているし結構なじみはあった。
中心になるフレディーマーキュリーもゲイでエイズで死んでしまった云々みたいなことは知ってはいた。初めてフレディを映像で見たのはキムタクの主演のドラマでアイワズボントゥラブユーが使われていて何かの番組でPVを見たとき。おおよそ服の体をなしていない服を着た胸毛とひげぼーぼーのおっさんがやたら太い声で歌っていたので、まあ印象にのこった。
映画は冒頭ライブエイドの舞台に立つ直前から始まり、クィーンメンバーの出会いから結成、そして成功し、確執もあり活動を休止し、その後の活動再開から復活のライブエイドまでを描いている。
どこからどこまでやるのかなと思っていたが場面場面ではあれ通史的やっていたのが新鮮で面白かった。
詳しくなかったのだけどフレディは何重ものの意味でマイノリティーだったのだなと知る。
フレディはイギリス人なのだがけど家計的にはインドのペルシャ人の血を引く。白人ではない。家の宗教はなんとゾロアスター教だ。厳格な父親のもとで育つ。人種的な差別も劇中ではそれとなく描かれていた。そして彼は劇中ではバイセクシャルであることを告白する。フレディの性的な話をどう描くかは気になっていたのだが、結構直接的に描かれていてすごかった。
作中の最初のほうで、女性の恋人と結婚してたのだけど、バイセクシャルをカミングアウトしたあとは別れを告げられる。別れを告げららるのだがその恋人の隣に居を構え、毎晩電話をするというありさま。フレディはなかなか大変な人だったようだ。
同性愛者のマネージャーと恋人関係になるのだが、このマネージャーも大変な人でフレディの人間関係を壊しにかかる。スケジュールやアポを意図的にフレディに伝えなかったり、フレディのそばで我が物顔でふるまいだす。そのことも手伝いメンバーとの関係も悪くなりクィーンは一時休止状態になる。休止後フレディはミュンヘンに行きソロ活動を始めるが、家では同性愛者の乱交パーティを開いたりなど堕落した生活を送る。などなど。
劇中で見る限り当時フレディが同性愛的な嗜好を持っていたというのは公然の秘密のような形で語られていた。噂レベルでは言われていたし、フレディに直接ゲイなのかと質問する記者もいたがフレディは公式には認めていなかった。やはり当時はまだ時代的にカミングアウトが難しかったのだろうかと時代背景の違いが感じられた。
フレディがエイズだと解るシーンも映画を見た後解説をみてわかったのだけど全部あれはフレディの視点を再現しているのだという。画面全体が暗いのはフレディがサングラスをかけているから。医者とのやり取りの際に不自然にカメラが揺れているのも視線を再現しているのだと。
あとフレディが日本文化が好きだという話も劇中で表現されていた。寝巻に日本の派手な柄の浴衣を着ていたり、ミュンヘン時代の家には金閣寺のお札が飾ってあった。日本での話もあったらおもしろかったが尺の関係もあるし難しかったか。
ラストのライブエイドのシーンは映画館の音響も相まってすばらしいの一言だった。臨場感や再現度がすごい。
後半はクィーンの音楽の世界にどっぷりだった。構成も時代時代の要点シーンをしっかり抜き出しているので飽きが来ない。是非お勧めしたい映画だった。