酸菜とは中国東北地方の郷土料理だ。
僕の両親は黒竜江省牡丹紅市の出身である。ここは中国でも最北に位置する地域だ。ロシアと国境を接するところでもある。緯度は北海道と同じくらいかすこし北側なので極寒の地だ。雪が大量に降るので冬季は野菜が取れない。そこで保存食をつくる。それが酸菜だ。
我が家では親の出自の関係もあって子供の頃から家でよく出た料理である。子供の頃は大嫌いだったが(中華料理全般が嫌いだったが)今では美味しく食べている。
酸菜を解りやすく説明すると、ザワークラウトの白菜版だと思って貰えばいい。ドイツ料理のキャベツの漬物だ。キャベツを漬けて発酵させる。酸菜は白菜を発酵させる。
本場では人が入れるくらいの大きな壺に塩水と白菜を入れて、重しをかけて野外に置いて1か月ほどかけて発酵させる。10月ごろに漬けはじめて、翌年の6月までかけて食べるのだという。野菜が自由に手に入らない冬季においては貴重なビタミン源だ。
本場の形式でやろうとすると、場所もとり、カビが生えることもあってにおいが強烈になるので、我が家では簡易的に白菜を刻んでビニール袋に入れて室内保存するというやりかたをしている。発酵を促進させるためにお酢も入れる。塩水も入れる。
このようにして2週間くらい置いておくといい感じに葉っぱがしなって発酵してくれる。乳酸菌が発行を促進させるので、酸菜の字の通りすっぱい。なれてくるとこの酸味がクセになってくる。
オーソドックスな食べ方としては鍋物にする。酸菜白肉鍋というのだとか。調べて初めて名前がわかった。僕は子供のころからよく食べていた。
作り方は酸菜を鍋に入れて、豚のバラ肉、高野豆腐、キクラゲ、ニンニク、白滝(本場ではないが)などを入れて煮込む。塩味と酸味だけでは味気ないので、我が家では本だしをちょっとだけ入れることにしている。お好みで醤油の味付けもあう。まあぶっちゃけ豚のばら肉が入っていればあとは何を入れてもいい。アレンジ可能だ。
ごはんのお供にはしづらいが、単品で食べると食べごたえがある。糖質制限のダイエット食にもいいだろう。なによりビタミンと乳酸菌がとれるので食べた後は胃腸の調子がすこぶるよい。
汁物以外にも水餃子に入れたりする。肉の脂身が酸味で中和されるのでさっぱりとした味わいになってなんこでも食べられる。
作り方もかんたんなのでお試しあれ
酸菜の作り方レシピ(簡易版)
材料
・白菜適量
・塩
・酢
白菜を千切りにする
塩を適量白菜がしなる程度水に入れる
お酢を入れる
ビニール袋に入れて日当たりの良いところにおいておく
2週間ほどたって酸味が出てきたら食べる。
密閉すれば1か月以上持つ。酸味の程度が進んできて発行を止めたいと思ったら冷蔵庫に入れるといい。
本格版
ゴミ箱に使うようなポリバケツ容器に白菜を洗って入れる。
塩をふるったあと水を入れる(適量)
重しをかける
白菜がへたって水につかるようになる。
白カビが生えてくるので生えたら白カビを取り除き、水を入れ替える。
定期的に水を入れ替えて1か月くらいしたら出来上がり。冬の間であれば腐ることもないので保存食になる。
ただしこの方式だと臭いが強烈になるのでマンションではお勧めできない。
酸菜白肉鍋レシピ
材料
・豚バラ肉(できればブロック)
・酸菜
・高野豆腐(普通の豆腐をさいの目に切り冷凍庫で凍らせたものでも可)
・白滝
・にんにく
・きくらげ
材料をぶち込んで煮込む。お好みで醤油、本だしなどで味を調える。かつお節を入れてもいい。
場合によっては加水して調整する。