この4月から放送大学に3年生として入学することになる。
目的は公認心理師の資格を取得するためである。正確に言えば公認心理師の資格を取りたいなと思い立ったら、いつでも取れるような体制を作るためだ。
公認心理師というのは最近できた心理職の国家資格だ。これ以前は臨床心理士というのが民間資格であり、実質心理職資格の最高位にあったが、国家資格を作ろうという動きがかなり前からあって、その動きがようやく形になった。ただ出来上がってまだ時間も浅く、現場も混乱していて、情勢がちょっと読めなくてしばらくは静観していた。
僕はフルタイムで働いているし、いざ取るとなると仕事も制限しなければならないからリスクも大きかったのだ。公認心理師は大学4年大学院2年でようやく受験資格が得られる。臨床心理士は大学院2年だけでよかったのでハードルが大きい。
僕は別の大学を出てるから学士入学ができるけどそれでも4年だ。それに経済的なことも考えると無理だ。
放送大学ならば経済的にも時間的にも条件がクリアできるのでは?と考えていたのだが、しばらくは放送大学も公認心理師対応していなかったのだ。
実は3年前くらいに放送大学に学籍だけは置いていた。一応様子見で入りつつ、公認心理師に放送大学が対応したら認定してくれそうな単位くらいはとっておこうかなと思っていた。結局単位は大してとらなかったのだけど。やはり確実に成果が得られるとわからないとモチベーションが上がらないのだ。
単位や勉強をするという目的というより、学籍を得て学生の資格を得ることが目的というのもあった。学籍を得たおかげでよかったこともあった。奨学金の返済を止めてもらったり、アマゾンスチューデント加入期間を引き延ばせたりとか。アマゾンスチューデントは学校を卒業しても間を開けずに別の学校に在籍さえしてれば伸ばせる。1年ごとに更新される。更新のタイミングで学生証の画像を送ればよい。
まあ、いろいろと学生の身分で享受できたことは多い。ただ学籍を得るだけであればそれほど高くはないし。放送大学に学籍を得て在籍するだけなら初年度は入学金がかかるので年35,000円。そのあとは年11,000円で済む。学籍のためだけなんてほめられたことではないかもしれないが。
一つ惜しいなと思っているのは大学院修了後最初の段階で放送大学に入学する時点で学士入学して3年次編入にしていればよかったということだ。実は2016年以前に入学していると経過措置といって正規の単位を取ってなくても、正規の単位に振り替え可能な講義をとっていれば受験資格が得られるのだという。
しかし僕は普通に入学してしまったので1年生から卒業単位を取らないと卒業できない。それは流石にキツいので今回手続き上は一旦退学して3年次編入することになった。
編入にあたっては出身大学に放送大学の指定した形式で単位証明の書類と作ってもらう必要がある。久しぶりに母校の事務に電話をした。行ってもいいかなとも思ったのだが渋谷に用事があまりないし、そういえば大学院修了以来一度も行ってない。
今年から放送大学で公認心理師の対応講義が始まるが、すべての対応講義が受講可能になるのが2022年だ。つまり全部受けるには4年かかってしまう。1年ごとに段階的に開講する。また、公認心理師の必須で学部の段階で心理実習を受けないといけないのだけど、放送大学の場合は心理実習を希望者全員で受けることができないのだ。事前に試験をやる。しかも2回。1次試験は筆記で、2次試験は面接だという。合格者は30名。
世間からどう評価されているかいまいちわからないが放送大学というところは学生のレベルがすごく高いと思う。通信制で授業料が安くカリキュラムが充実しているというところは結構少ない。大学の事務さんも対応が抜群にいい。母校での事務員はなんどかいらっとさせられることがあったが放送大学はない。
何が言いたいかというと優秀な学生が多いし、設備も講義も良いので、特に資格取得に関わる心理系の選考試験は倍率がすごく高いのだ。今でも放送大学では大学院で臨床心理士になるためのコースが開設されているが確か倍率は10倍ほど。開講年度は20倍をこえたらしい。
余談だけど数年前に放送大学の大学院で博士課程が開設されたときは倍率が20倍だったという。この前その博士課程一期生が博士号を取ったという記事を見たが博士号取得者の経歴が既に別の大学で博士号と取っていた東工大の副学長とか、修士号を2つ海外の大学で取っていた元高級官僚とか、そういうレベル高すぎなメンツがそろっていた。ほかにも大学の現役の教員も学位を取るために出願していたという。現役の大学教員なのに落ちた人も居る。
そういう現状をみると、心理実習の選考試験にそもそも俺は受かるのかよと一瞬思ったりはする。まあとはいえ、ほかに選択肢があるわけでもなし。聖徳大学の通信課程も考えたが放送大学のほうがよさそうな気がしていたのでとりあえずはためしにやってみようと思う。幸いに安いので損切もしやすい。
出願にあたって改めて願書を取り寄せカリキュラムを見ていると、取る必要のあるカリキュラム以外にも地質学や気象学や国際法などちょっと興味はあったけど体系的にやってないなあと面白そうな講義科目もあった。初めて大学に入った時に感じたわくわく感を思い出した。
放送大学の履修スタイルは大学の名前の通りでテレビとかラジオとかで講義の番組を見る。科目登録をすると大学からテキストが送られてきてテキストを見ながら放送を見たり聞いたりする。最近まで地上波でやってたがなくなってしまった放送で見る際はBSが必要だが我が家はないので不便だなと思ってたところ、スマホのアプリが最近出たのを知った。これは便利。スマホなら気軽に見たり聞いたりできる。PCでもみられるのだがPCだとちょっと億劫だったりする。社会人学生を考慮してくれているのか試験が土日になっている科目が多い。平日になっているかもくも、後期で土日になっていたりする。
まあ無理をしても続かないしゆるゆるやっていきましょうかね。
そうだ、そもそもなんで公認心理師の資格を取ろうと思ったのかを書いてなかった。
一番は曲がりなりにも心理系の集まりに20歳の頃から顔を出し、カウンセリングを受けたりカウンセリングをやったり、最近ではささやかながら副収入を得るようになったりして、ここらでちゃんと体系的に心理学を勉強しておきたいなというのがあるから。
あと食い扶持というか仕事に活かしたい。特に自前でやっている今すぐやる会という発達障害も視野に入れたライフハックの集まりで本格的な収益化を考えている。肩書で公認心理師の国家資格があるとやっぱりあって困るものではないし、肩書が結構助けになったり信用の担保になるのは思い知っているからだ。
僕にはカウンセリングやコーチングの技法を教えてくれた師匠がいる。でもその人は臨床心理士などの資格がない。ないうえに催眠もやっていて、怪しいと思われることが多い。損だなぁと思う。本人は特に気にしてないようだし、仕事は順調そのもので医療業界に絡んで生計を立てている。
友人に精神科医がいるが彼から資格が取れるなら取っておいたほうがいいと薦められたのもある。彼曰く結局国の資格が最後に有利になるようにできているのだと。それはその通りなのだろうと思う。
もろもろのことを考えるととりあえずは動いてみるのもよいだろうと思ったわけだ。
話がずれるが、この前神田橋條治先生という凄腕の心理療法家・精神科医のケースカンファレンスに行ってきた。これは別の記事で書きたいが神田橋先生が友人の先生がこの前公認心理師試験に憤慨して本を書いたから原稿を見てくれと送ってきたという話をした。
気になって調べてみたらまだ本にはなってなかったがその先生のブログ記事が出てきた。増井健士先生という方だ。
これを読むと公認心理師の試験は大量の記憶を必要とし、○×形式の試験でありそれが問題だと。そうした試験を経て資格を取った治療者が臨床の場にも○×や正解不正解の思考を持ってくるのがことにならないのだろうか。答えは患者の潜在意識にあるのだから治療者の側に正解があるかのような錯覚を与える危険があると。
雑に僕がまとめるとだがそんなことが書いてあった。凄く解る。
大して経験のない僕が言えることでも無いが、この試験を突破したからカウンセラーの腕が担保されるというものではないかもしれない。まあ受験資格に実習を結構な時間やらせるということで担保しているのかもだが。
だから何が何でも受かりたいとか取りたいとかは思えないところもある。でもお国の資格は結構役に立ちそうだしね。やっていきます。