コミカライズ作品について。コミカライズは原作がある小説とかアニメとかを漫画にするものだ。面白いものは面白い。ただその面白さは原作をすでに見ているとただ追体験するだけで新鮮味がなかったりする。それはそれで仕方がないし、そういうものだと思って読んでいる。
ところが、時々原作を凌駕するとんでもないコミカライズが出てきたりする。漫画でないと表現できないキャラクターの魅力、戦闘描写、場面切り替えの妙、緻密な作画。たとえば伊藤悠の『皇国の守護者』や佐々木少年の『月姫』なんかは僕は原作と肩を並べ単立の漫画作品として素晴らしいものと思っている。
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そのレベルですごいコミカライズ作品がこの前出た。それがFGOの「英霊剣豪七番勝負」のコミカライズだ。
つい最近漫画アプリで連載が開始したのだが圧倒的な作画精度とキャラクターの魅力を引き出す描写力、そして戦闘シーンの疾走感。あらゆる要素が突き抜けてレベルの高い漫画になっていた。反響もすさまじい。連載開始と同時にツイッターでは称賛の声が上がった。
FGOでも「英霊剣豪」のクエストは特殊に作られている。
基本主人公はレイシフトと言って、特定の時代にカルデアのシステムで移動をするわけだが、この話は主人公が突然眠ってしまって意識だけが17世紀の下総国に飛ばされてしまう。カルデアからのバックアップは受けられず偶然出会う宮本武蔵の英霊とともに特異点を修復する。
正直言えばコミカライズに過度な期待はしていなかったのだ。佐々木少年が新宿特異点のコミカライズを担当すると聞いてそちらばかり注目していた。これは意外だった予想外のダークホースだった。見せ場というものがこれでもかと詰め込まれている。素晴らしいのはFGOの前提知識がなくても楽しめる作品に仕上がっている。
ギャクシーンとシリアスシーンのメリハリもいいし、女主人公(立夏)の普通な感じが等身大のマスターを描いていて良いし、絵がめちゃくちゃ上手い。戦闘シーンの書き込みっぷりが凄まじい。
殺伐としたヒリヒリした感覚が伝わってくる。武蔵を始め、剣豪サーヴァント達の垣間見せる狂気がふとした瞬間に出てきたりする。すでに原作はプレイ済みなのでこれからの展開が楽しみでならない。まだ4話しか公開していないが面白い。原作の魅力や見せ場というのをしっかり理解してひきつける絵を描いている。絵だけではなくコマ割から、コマの配置すべてがすばらしい。
まあとにかく読んでみてくれ。面白い。単行本が楽しみだ。