akiraの個人ブログ

akiの個人ブログです。読んだ本の感想、めんたねでやってる心理学、カウンセリング、催眠の事とか、他にも旅行、外食、買ってよかったもの、ラノベ、アニメなど興味のあるものを書き連ねていきます。

NHKでやってた映像詩 宮沢賢治 銀河への旅~慟哭の愛と祈り~をみた。宮澤賢治が生涯をかけて愛した男性の話

偶然NHKでやっていたのを見つけて、再放送を録画したものを見た。

宮沢賢治と親交のあった保阪嘉内という男性が銀河鉄道の夜をはじめとする作品に大きく影響を与えているという内容だった。

番組は宮沢と保坂の関係を中心に構成されている。

宮沢と保坂の出会いは盛岡高等農林学校時代に寮で同室になったことから始まる。
宮沢に1年遅れて入学してきた保阪嘉内は山梨の裕福な家の出で、トルストイの文学に触発されてトルストイのように農地を百姓に分け与え、家出して一人で死ぬが願いだという青年だった。そして自分も一人の百姓になるのだと宮沢に語り宮沢も触発される。

番組では保坂の中学時代の文章なども紹介しつつ話が進む。しかしなかなか理想が先走りすぎてみていてつらいものがあった。あまりにも純粋で若く、そして当時は武者小路実篤をはじめ農地解放のこういう思想が富裕層の若者の間で流行ったんだなぁと思った。

寮では新入生のために各部屋で出し物をやるのだが、保坂の脚本で人間のもだえという劇をやることになる。宮沢は全知の神の役を演じ顔を真っ黒に塗る。保坂は全能の神を演じ顔を真っ赤に塗る。この真っ赤に塗られた顔は風の又三郎のモデルになっているのだとか。

番組の中で宮沢と保坂は親交を深め、ついに友情を超えた恋愛的な関係だったのではないかと思わせる演出がされていた。

あるとき宮沢と保坂は岩手山に登山に行く。岩手山で日の出を見ようということで夜明け前の暗い山道を松明をもって歩き出す。しかし松明の火が突然消えてしまう。火が消えないように宮沢と保坂で互い違いに松明に息を吹きかけるのだが、その時に顔が近づいて目があってみたいな演出が再現ドラマであって、完全にそっちの関係をにおわせるものだった。

宮沢と保坂は学内で同人誌を創刊するのだが、保坂が発表した文章が天皇否定につながると問題になり保坂は退学処分になってしまう。ここで宮沢と保坂は別れてしまう。

そこから二人のすれ違いが始まる。退学したのちも宮沢と保坂は文通をしている。
番組の中で実際の手紙が紹介されたが・・・いや怖い。しっかりやりませうが大量に並んだ便箋とか怖い。

他にも我を捨てるなと書かれた宮沢の手紙がある。

愛が重い。

当時書いていた詩にも「ひたすらにおもいひたむれど このこひしさをいかにせん あるべきことにあらざれば よるのみぞれを行きて泣く。」とあり恐らくていうか間違いなく保坂を思って詠んだ詩だ。

保坂はその後軍隊に入り、宮沢と上野の図書館で再会をするのだが、ここで二人の関係に亀裂が入ったしまったようだ。
二人の間でどんな会話が交わされたのかはわからない。わかっていることは保坂の日記には宮沢と面会とだけ書き大きく×が書かれていたことと、宮沢も面会の場面を小説に書いていたことだった。実物の迫力がすごくていったい何があったのやら。

想像するに百姓になるという保坂の理想とそこに共感した宮沢の理想が時代がたつにつれて合わなくなったということだろう。
宮沢が純粋すぎたのだろうか。保坂は社会に出ておとなになったということなのだろうか。

その後宮沢と保坂は会うことはなかった。

保坂は郷里に戻り農業指導に従事し40代の若さでガンで亡くなる。

そのあとは宮沢の詩や小説から保坂との関連を開設していた。
ケンタウルス座と銀河鉄道の夜のケンタロス祭の関係とか、宮沢は1925年に実際にケンタウルス座と土星が向かい合う空を見ていたとか、ケンタウルス座に宮沢を土星に保坂を重ねていたとかなんとか。

保坂のことは全く知らなかったので宮沢がここまで思いを寄せる男性がいたというのは驚きだったが、生々しい愛憎の様子が作品や手紙から垣間見れて面白くもあり見てて辛くもあったと思う。

再放送は終わってしまったがどこかでやってると思うのでお勧めする。
久々に宮沢作品が読みたくなったな。