akiraの個人ブログ

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映画「のぼうの城」を見た


ピエール瀧が逮捕され、ツイッターでのぼうの城がみられなくなるかもというツイートをみて急いでみた。原作は買って積読だったし、なにより野村萬斎は好きなので前々から見ようとは思っていた。実際にみてみたがとても面白い。この作品野村萬斎主演ならではだと思う。ちなみにピエール瀧はそんなに出ていなかった。重要な役どころではあったが。

豊臣秀吉の小田原征伐の際に起こった忍城の戦いを描いた作品だ。
小田原征伐で秀吉に対峙する北条氏は配下の者に関東各地に配置された支城に籠城して戦うように指示をする。北条氏につかえていた成田氏の忍城(おしじょう)もその一つだった。主人公は野村萬斎演じる成田長親。成田家当主成田氏長の従兄弟にあたる。

この長親当主の従兄弟であるのに、領民からは「でくのぼう」を略して「のぼう様」と呼ばれている。成田氏は北条氏に恭順すると見せかけて実は秀吉に内通をしていた。当主は恭順の意を示すために小田原城に籠城するため忍城を離れる。代わってて主人公の長親当主の代行を務めることになる。忍城には石田三成を総大将に秀吉方2万の軍が押し寄せ開城を迫る。当主から開城をするように事前に長親は言われていたが、秀吉方の使者の態度と幼馴染の甲斐姫を秀吉に差し出すようにいわれて憤慨し徹底抗戦となる。

冒頭から野村の演技が冴えわたっていた。劇中での成田長親は愚鈍で、空気を読まず、周りから馬鹿にされるキャラクターだ。武士らしからぬ異様さが野村のもつただならぬ雰囲気と相まって強烈に引き寄せられる。時折過剰とも思える立ち振る舞いや声の上げ方も、作品の中のキャラの位置づけから納得してしまって自然に見えてきてしまうのが面白い。この人はこういう人だから変なことしても仕方ないよねと作中の人物たちからも納得もしくは呆れられ、見ている側も受け入れてしまう。少し間違えるとこういうキャラは作品の空気自体を壊しかねないと思うので、これは野村ならではの演技がそうさせるのではないか。また、「でくのぼう」の時と毅然とふるまう時のメリハリがきっちり効いていてそこもよかった。

上地雄輔演じる石田三成も面白くて、圧倒的な武力の前にあっさり降伏する敵方に対して「人はこんなものか」と拗ねていたのだが、長親が抗戦の構えとなると凄くうれしそうに表情を変えて楽しそうに戦の指揮をとる。

忍城の戦いは兵力では劣るが、地の利と知略を活かし、前半は成田側の圧勝に終わる。
石田は負けているはずなのにうれしそうだった。後半は堤防を突貫工事で作って川を決壊させて水攻めを行う。川を決壊させると一気に本丸以外は水に沈んでしまった。
濁流に建物や人が飲み込まれるシーンなども公開当時は東日本大震災の影響もあり配慮されてカットされたシーンもあるという。

この水攻めで成田方は窮地に追い込まれるのだが、ここで長親は船で単身敵地の目前まで乗り込む。そこで石田をはじめ敵方の兵が見ている前で船の上で田楽舞を踊り始める。このシーンは本当に面白かった。野村萬斎が舞をやるからキレがちがうのだな。
一気に場の空気を持って行って敵兵も笑わせてしまう。しかし長親には狙いがあり、敵陣に近づき、わざと自分を撃たせて兵の志気を上げることをもくろんでいた。つまり死を覚悟した舞だった。そこで自分も敵も笑い笑わせながら舞う姿が長親という人物の狂気を表していて見入ってしまう。映画の見せ場であると思う。長親はそこで撃たれてしまうが、幸いに一命を取り留める。死を覚悟して抗戦の構えになるが、寸前で小田原城の落城を知らされ戦が終わる。

そのあと講和の話し合いになるのだが石田三成とのやりとりもよかった。すっかり石田は長親にほれ込んで実にうれしそうに講和に応じる。
最後は唯一忍城が落ちなかったことを伝え、敵方の戦ぶりをほめたたえる。見ていて気持ちがよい。
野村演じる長親の魅力に引っ張られて最後まで見てしまう作品だった。

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