akiraの個人ブログ

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ミルトン・エリクソンのドキュメンタリー映画「砂漠の魔術師」を見た。


先週のめんたねサロンでミルトンエリクソンのドキュメンタリー映画「砂漠の魔術師」を見た。

ミルトンエリクソンの半生を振り返りながら、エリクソンの子供たちや患者や弟子たちのインタビューで構成されていた。

エリクソンの半生自体は本などで読んでいてなんとなくは知っていたけども映像で見てみるとなかなか面白い。

田舎の出身で父親がログハウスを作っていたみたいな話をエリクソンがしていたのを読んだことがある。で、エリクソンが生まれた家の跡地が映像で出てきたのだが予想以上に田舎過ぎて驚いた。もう田舎というより自然の只中にログハウスがぽつんと建っている。

物がない中で生まれ育ったから使えるものはなんでも使うという生活ぶりでそうしたライフスタイルが治療の手法にも影響があると作品の中では解説していた。確かにエリクソンはユーティライズ、つまり患者の中にある既知のものを引っ張り出したり、伸ばしたりするなど治療に利用する。

ほかにはエリクソンとエリクソンの子供の話が面白かった。
エリクソンには息子が何人か居たが長男には自分の後をついで医者になってほしかったらしい。才能もあると思っていたようだ。ところが長男はインタビューで「普通でない人と普段からかかわりたいと思わなかった」と言っていて、結局医者にはならなかったのだという。エリクソンはそのことに憤慨していたらしい。

あれだけ治療の場では親子の分離を促進していたはずなのだが、エリクソンも人の子で自分の子供にはやはり期待がかかったということなんだろうか。

映画の中ではエリクソンの人間くさい所が紹介されていた。10代でポリオを発症し、その後回復するも障害が残り、そのことをばねにして若いころはものすごき競合的な人間だったようだ。誰よりも努力をして、成果を出すことに熱心だった。同僚とは馴れ合わずあまり交流を持たなかったとか。

これまで本では治療の場でのエリクソンを見てきたものだからどこかエリクソンは人間離れした浮世離れした感性を持っている人なのかと思ってはいたが、そんなこともなく普通の人間の思わんとすることも人並みに思っていた。そこが意外で、でも納得はしつつ面白いと思った。

またエリクソンは若いころに離婚を経験していて、当然ドキュメンタリーでも取り上げられたけども、詳しくは語られなかった。エリクソンがそもそもあまり語ろうとしなかったようだ。

息子たちの話によるとエリクソンが離婚した妻と子供を面会させるために子供と公園に行った後、妻と子供が公園で遊んでいる間ずっと見張るように突っ立っていたのだという。このあたりの振る舞いもちょっと俗っぽい。

エリクソンの関係者のインタビューは、弟子や患者はエリクソンを賞賛するが、子供たちは割合エリクソンに対して不満が多いという印象だった。若いころは病院につめて朝早く出勤して夜遅く帰る生活で子供たちにかまう暇もなかったようだ。家政婦を雇っていたが家政婦は子供の世話に熱心でなくて遊んでもらえなかった不満をインタビューで語っていた。娘も父親のエリクソンとは会話が成立しなかったとかそんな話をしていた。これは忙しかったという意外にもエリクソンのもつ発達障害的なものがコミュニケーション不全を招いていたのかも。

後年のエリクソンは自宅兼診療所を建てて、そこに患者やエリクソンに学ぶ治療者がやってきていた。子供たちは患者と遊んでいてそれが楽しかったと語ったりしている。

全般的に知っている話が多かったが、映像で見るとまた解像度が違うし、エリクソンの治療に出てくるエリクソンの生家やスクオーピークなど見られて面白かった。エリクソンの人間くさい一面や子供たちの不満も見られたのは発見だったと思う。