以前にテレビで下末吉のスリバチ地形が取り上げられていたのを見て、気になって行ってきた。下末吉面という学術用語にもなるほどに、多くの台地と谷とスリバチ型の地形がある場所である。高低差が好きな人間にとっては天国のようなところだ。
特徴としては台地面がほぼ平坦であることだ。平坦である故に台地の上に建物が多く立っている。家々が段々に見えるのもこの辺りの景色の特徴だ。台地が平坦なのは下の層が平かな海底堆積層があるためだ。上部には火山灰が積もった関東ローム層がある。このローム層は水分を含むと崩れやすくなるので、崖がよくできるということで、この辺りは高台と谷が密集しているとのことだ。
JR鶴見駅で降りて歩き始める。この辺りは低地。ここから北西方面に歩いていく。
西側に台地が密集していて歩いていくと、坂が見えてくる。
今回目的地にしたのは北部のスリバチ地形だが、道中も台地の密集地であることを見せつけられる。高台や崖があちこちにあった。
途中愛宕神社の標識があったので行ってみたが、東京の愛宕神社を思わせる高低差を感じさせるものだった。階段が二段構成になっていて高低差が素晴らしい。
愛宕神社本殿側から階段をみると川崎の市街地までが一望できるようになっている。眺めが良い。この時点でまだ標高は21mなのでさらに上の高台がある。
本殿裏にはひっそりと庚申塔があった。宝永7年と刻まれていたので1710年のものになる。
こちらは皇紀2600年(昭和15年、1940年)を記念して建てた神社の石碑。時々神社にはこういうのがある。
愛宕神社からもスリバチ地形の場所を目指して高台に向かって歩いていたのだが、あちこちに高低差を感じさせる階段や坂があって楽しかった。
ここが目的のスリバチ地形の場所だ。宝泉寺というお寺の裏側になる。スリバチ状の窪地になっていて、窪地は墓地として使われている。
満足してもう少し高いところに行こうと階段を登った。テレビでやっていた階段を探して歩いたのだが、見当たらなかった。一体どこにあるのやら。しかし急な階段である。
階段を登ると実にいい景色だった。ここで標高40mになる。
高台を歩いているとあちこちに階段があり、どれも高低差を感じさせるものだった。
高台の上で撮影したものだが、崖になっているところと坂になり下っているところもあって面白い。写真を撮り忘れたがこの高台は台地の面積が広く、社屋や中学校などもあった。
高台からの高低差が見える。
日も傾いてきたので、切り上げる前に低地の池をみにいくことにした。前方に見える森は三ツ池公園という。
公園に入ると湧水池があった。湧いているのかどうか微妙な感じがしたが。
公園の中に朝鮮式の庭園があった。韓国の都市と友好都市になっていてそれを記念してつくったらしい。えらく作り込んであってこちらはこちらで興味深い。
三ツ池がみえた。かつてこの地域の低地(沖積地)には水田地帯が広がっていた。しかし付近を流れる鶴見川は海水が逆流することもあって農業用水には向かなかったらしい。代わりにここのため池を灌漑用水として利用していた。
写真ではわかりにくいが周囲を台地に囲まれた窪地だということがよくわかる。
池の真ん中の通路には天保時代に建てられた、三ツ池が農民に恩恵をもたらすことを詠んだ歌を刻んだ石碑があった。かつてこの地に恵みをもたらしていたことを伝えるものである。
池から高台に向かって歩くと水神が祀られている神社があった。
こちらも皇紀2600年を記念したもの。
公園の高台側に通路があって、池を取り囲むように高台だけで回ることができた。高低差を生かしてえらく長い滑り台もある。試しに滑ってみたら予想以上に早くてびびった。
日が沈んで一気に寒くなったので、急いで帰る途中で撮影したもの。中心には夕焼けに染まった富士山が見える。
この日で回ったところは下の画像の赤く囲った部分だけでまだごく一部だったのでまた機会があったら行きたいと思う。
※スーパー地形 より
https://www.kashmir3d.com/online/superdemapp/
参考文献
『美しい3D地図でみる 東京スリバチ地形散歩 路地大冒険編』皆川 典久 (著)洋泉社