akiraの個人ブログ

akiの個人ブログです。読んだ本の感想、めんたねでやってる心理学、カウンセリング、催眠の事とか、他にも旅行、外食、買ってよかったもの、ラノベ、アニメなど興味のあるものを書き連ねていきます。

映画 若おかみは小学生!を見てきた。

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なんだかTwitterでえらく話題になっていたので見てきたのだがすっごく良かった。
最初タイトルを聞いてラノベ?とか思って偏見があったのだが。

あらすじはこんな感じ
両親を交通事故で失った小学6年生のおっここと関織子は祖母である峰子の営む温泉宿に引き取られる。ところがその温泉宿には幽霊のウリ坊という少年がいて、この幽霊が関わることで温泉宿の跡取り若おかみとして働くことになった。若おかみとして働くうちにウリ坊以外にも他の幽霊や小鬼が出てきり、温泉宿に来るお客さんと関わるうちに、温泉宿で人をもてなす自覚が芽生え始め成長していく。ざっと話すとこんな感じだ。

舞台になる温泉宿は大きくはないこじんまりとした温泉宿なのだが。隠れ家めいていて、伝統と趣を感じさせる風情がある宿だ。背景の作画がしっかり作り込んであって、丁寧に取材をして描いたのだと感じさせる。アニメだけどもアニメっぽさがない。背景作画に手を抜いていない。おいてある小物や料理の描き方もリアリティを感じさせる。
後で調べて解ったのだが監督はジブリ作品で作画監督を務めた人でなんだか経歴を知ると納得してしまった。生活感の描写がすごいのだ。

主人公のおっこがとにかくいい。両親を事故で失っているのに、すごく前向きで明るい。

祖母の峰子さんとのやりとりもすごく良かった。両親を失っているからといって、腫れ物に触るような扱いはせず、叱るときは叱るし、躾もするんだけど、叱り方も追い詰める叱り方じゃない。だから主人公のおっこが反発して素直に受け入れない場面もあるんだけどもしょうがないなとおっこがその場にいることをちゃんと認めている感じが伝わってきて。それは台詞だけじゃない雰囲気に現れていてそこがすごくいいなと思った。

祖母の他にも板前さんや仲居さんが家族みたいな役割で悲しい経験があるのだけど決して悲観的では無い関係がそこにはある。人間関係だけではない。宿に住み着いた幽霊のウリ坊、最初はいたずらされていた美陽、子鬼の鈴鬼といった人外の存在もある。

作中では、おっこが死んだはずの両親と一緒に寝たりじゃれたりして楽しむ場面が出て来る。その場面はおっこの回想して描かれているのではなく、あたかもおっこがその場の今ここで体験しているように描かれている。虚構のはずなのに現実と地続きで描かれていた。おっこは劇中で「まだ両親が死んだ気がしない」と語るのだが、両親の死の受容の仕方がすごくリアリズムを感じてしまった。突然両親が事故で死んでしまって、時間も間も無く祖母に引き取られ、まだ死を受容できていない。おっこの中ではまだ確かに両親は生きているのだ。

作中の終盤である家族づれのお客がやってくる。夫婦と子供の3人家族で父親は杖をついている。その父親が実は両親を交通事故に巻き込んだトラックの運転手だったということが判明する。本当にこのあたりの話がヘビィで作品を直視するのが辛かった。そのときおっこは両親の死を突きつけられて大泣きする。今まで抱えていたものを吐き出すように。凄いのはそのあとだ。運転手の家族が別の宿に移ろうとする場面でおっこが引き留めてウチの宿に泊まってくれと言うのだ。それは決して無理をしているわけでは無くて、悲しみを抑圧しているわけでも無い。心の底からお客をおもてなししようというまっすぐな心根からだ。

そんな風にいろんな経験を乗り越えていくおっこだが、終盤に向かうにつれて幽霊達とのやりとりが減っていく。段々とおっこが幽霊が見えなくなっていく。おっこが温泉街の仕事に段々と馴染んで行くにつれて、幽霊たちとのやりとりが必要と無くなっていく。劇中の最後では温泉街で代々伝わってきた神楽舞を舞う場面で幽霊達が天に帰っていくのだが、そこに至るまでのおっこの成長が本当にすごく良い感じなのだ。

冒頭から終盤まで目が離せずひたすらおっこの行く末がきになる映画だった。